2026年のX(旧Twitter)のスクレイピングは、数年前よりずっと難しくなっています。ログインなしのアクセスはほぼ閉じられ、Xの利用規約は書面による同意のないスクレイピングを禁止しています。よく使われていたオープンソースのスクレイパーは動かなくなったか、実際のXアカウントがなければ動かなくなりました。ゆっくり、ルールの範囲内で行えば、小規模に公開データを集めることはまだできます。定期的または大規模な取得なら、たいていはAPIの方が手間がかかりません。
当社は公開Xデータ向けのサードパーティAPIであるTwittrAPIを運営しているため、後半の話には利害関係があります。以下の事実は、X自身のページ、裁判に関する報道、各スクレイパーのリポジトリに基づくもので、すべて「出典」にリンクし、2026-10-10に確認しました。法的助言ではありません。
Xの規約はスクレイピングをどう定めているか
利用規約は同意のないスクレイピングを禁止
Xの利用規約(2026年10月9日施行版)は、Xとの別途の合意がない限り、Xが公開しているインターフェース以外の手段でサービスにアクセス、クロール、検索してはならないと定めています。注記では、事前の書面による同意のないクロールやスクレイピングは、形態を問わず明示的に禁止されているとしています。
規約には損害賠償額の予定(liquidated damages)の条項もあります。規約に違反した者、または違反を手助けした者が、24時間以内に1,000,000件を超えるポストをリクエスト、閲覧、アクセスした場合、1,000,000件ごとに$15,000を支払う責任を負います。EU版では金額がユーロで記載されています。Knight First Amendment Instituteによると、この条項は2024年11月15日に施行された規約で初めて登場しました。
robots.txtはデフォルトですべてのクローラーをブロック
x.com/robots.txtはUser-agent: *に対してすべてを禁止しています。名前を指定された検索エンジンのクローラーには個別のルールがあり、GooglebotとBingbotはほとんどのページをクロールできますが、フォロワー、フォロー、いいね、検索のページは対象外です。いくつかのAIやソーシャル系のクローラーは完全にブロックされています。robots.txtに従うスクレイパーには、クロールできるものがありません。
スクレイピングがブロックされる理由
2023年の3つの変更で、ログインなしのスクレイピングの大半が使えなくなりました。いずれもスクレイパーに有利な形では元に戻っていません。
ログインの壁。 2023年6月末、Twitterはログインしていない訪問者にポストではなくログイン画面を表示するようになりました。TechCrunchが報じています。
アカウントごとの閲覧制限。 2023年7月1日、イーロン・マスク氏は1アカウントが1日に読めるポスト数の上限を発表しました。認証済みアカウントは6,000件、未認証は600件、新規の未認証アカウントは300件です。同じ日に10,000件、1,000件、500件へ引き上げられました。理由として「extreme levels of data scraping」を挙げています(同じTechCrunchの記事)。アカウントを使うスクレイパーが多数のアカウントにリクエストを分散させるのは、こうした制限があるためです。
ゲストアクセスの廃止。 広く使われていたsnscrapeは、ログインなしのアクセスに依存していました。「All Twitter scrapes are failing: blocked (404)」というissueは2023年6月30日に立てられ、現在もオープンのまま固定表示されています。
まだ使える方法と、そのコスト
アカウントを使うスクレイパー
twscrapeなどのツールは、ログイン済みのXアカウントを使うことで今も動いています。READMEによると、認証済みのアカウントが必要で、Cookie(auth_tokenとct0)かログイン情報を使います。アカウントごと、エンドポイントごとにレート制限を管理し、上限に達したら別のアカウントに切り替えます。また、ユーザーのタイムラインは約3,200ツイートで打ち切られると記載されています。
動く構成ではありますが、コストがあります。
- Xアカウントが必要で、スクレイピングはそのアカウントの名義で行われます。上記の規約はそのアカウントに適用されます。
- 制限はすべてアカウント単位なので、処理量は運用するアカウント数で決まります。
- Xの内部エンドポイントは公開インターフェースではありません。変更されると、誰かが修正するまでツールは動きません。
ブラウザ自動化
PlaywrightやSeleniumで実際のブラウザを操作すれば、ログインしたユーザーが見るものを、ユーザーと同じ速度で取得できます。同じログインの壁、同じアカウントごとの閲覧制限、同じ規約にぶつかります。動作も遅く、運用も重くなります。
この記事で扱わないこと
Xのスクレイピングの解説では、ローテーションプロキシ、偽装したブラウザフィンガープリント、CAPTCHAの突破に話が進むことがよくあります。これらはXの制御を回避するためのもので、まさに規約が禁止していることです。保守の手間というコストを払い続けるいたちごっこにもなります。この記事では扱いません。
ブロックされずにスクレイピングするには
それでも小規模にスクレイピングするなら、次の点を守れば大半のトラブルは避けられます。
- 小さく、ゆっくり。 人間のペースで数百件のポストを読むのと、1時間に数百万件を読むのは別物です。$15,000の条項は24時間で1,000,000件を超えたところから適用されます。
- 公開データだけ。 鍵アカウント、ダイレクトメッセージ、与えられていないログインの先にあるものは決して収集しないでください。
- すべてキャッシュする。 同じプロフィールやポストを1日に2回取得しないでください。
- エラーが出たら止める。 429、ログイン画面、空のページは、ペースを落とすか止めるべきサインです。リトライを強めるべきではありません。
- 所在地の法律を確認する。 個人データの収集には、Xの規約とは別に独自のルールがあります。
米国での法的な状況
スクレイピングの議論では2つの裁判がよく取り上げられます。どちらも、あなたのプロジェクトが許されるかどうかを決めるものではありません。
hiQ Labs v. LinkedIn。 2022年4月、第9巡回区控訴裁判所は、公開されているページのスクレイピングは、停止要求書(cease-and-desist letter)を受け取った後でも、コンピュータ詐欺・不正利用防止法(CFAA)上の「without authorization」のアクセスには当たらない可能性が高いと改めて判断しました(Fenwickの解説)。この判決は、ログインの先にあるデータ、契約違反や利用規約違反の主張、著作権や不法侵害(trespass)の主張には及びません。
X Corp. v. Bright Data。 2024年5月、ウィリアム・アルサップ判事は、Xがデータ企業Bright Dataを訴えた裁判を棄却しました。Xはスクレイピングによる損害を主張しておらず、公開ポストの販売に関する主張は著作権法によって専占されるとされました(MediaPost)。2024年11月、同判事はスクレイピングがサーバーに支障を与えたとするXの主張の再提出を認めました(MediaPost)。両者は2025年6月に非公開の条件で和解しています(Bloomberg Law)。
要するに、米国では公開ページのスクレイピングが自動的に犯罪になるわけではありません。しかし利用規約に基づく契約上の請求はありえますし、規約は今や金額まで定めています。
スクレイピングの代わりにAPIを使うべき場面
次のどれかに当てはまるならAPIを使ってください。
- 1回きりではなく、毎日データが必要。
- 数千件を超えるポストやプロフィールが必要。
- Xアカウント、セッション、故障対応を管理したくない。
- 顧客やコンプライアンス部門など、他の誰かがデータの出どころを知る必要がある。
APIには2種類あります。
X公式API。 console.x.comで登録し、従量課金で支払います。ポスト読み取り1件$0.005、ユーザー読み取り1件$0.010で、従量課金ではポスト読み取りは月300万件までです。Xがサポートする唯一の経路で、投稿やユーザーに代わる操作ができるのもこれだけです。詳しくはX API料金【2026年版】を、リクエスト数の制限はTwitter APIのレート制限の解説(英語)をご覧ください。
公開データ向けのサードパーティAPI。 TwittrAPI、twitterapi.io、SocialDataなどの提供元がデータの収集を担い、独自のRESTエンドポイントとAPIキーで公開データへのアクセスを販売しています。X開発者アカウントも、Xアカウントも、スクレイピングの基盤も必要ありません。これらはXとは提携しておらず、公開データだけを返します。利用がご自身のコンプライアンス要件に合うかは確認してください。公開されている料金の比較は2026年の最安Twitter API(英語)にあります。
| 自分でスクレイピング | X公式API | サードパーティAPI | |
|---|---|---|---|
| Xの規約 | 同意なしは禁止 | 許可 | 提供元と用途を確認 |
| 準備 | アカウント、セッション、ツール | 開発者アカウント、アプリ、クレジット | 提供元のアカウント、APIキー |
| Xの変更で壊れるか | 壊れる、自分で修正 | Xが変更を告知 | 提供元が修正 |
| 公開データの読み取り料金 | 自分の時間とインフラ | ポスト1,000件で$5 | 1,000コールまたは1,000件あたり数セント |
| 投稿 | この記事では扱わない | 可能 | 公式APIを使う |
TwittrAPIでは、1リクエストはキーをヘッダーに付けた1回のHTTPコールです。リクエストの例はドキュメント(英語)に、1,000コール$0.065からの料金は料金ページにあります。$0.10のテストクレジット付きのキーはこちらから取得できます。手順は開発者アカウントなしでX APIキーを取得する方法(英語)で説明しています。
よくある質問
Twitter(X)のスクレイピングは違法ですか?
何を、どのように、どこで収集するかによります。Xの規約は書面による同意のないスクレイピングを禁止し、24時間で1,000,000件を超える場合の損害賠償額を定めています。米国では、hiQ v. LinkedInの判決により、公開ページのスクレイピングはCFAA上の犯罪には当たらない可能性が高いとされていますが、契約上の請求まで否定するものではありません。個人的な調査を超える用途では、法律の専門家に相談してください。
ログインせずにTwitterをスクレイピングできますか?
ほとんどできません。2023年半ば以降、Xはログインしていない訪問者にログイン画面を表示し、robots.txtは個別に許可されていないクローラーをすべて禁止しています。snscrapeなど、ログインなしのアクセスに依存していたツールは2023年6月から失敗し続けています。
snscrapeはまだTwitterで使えますか?
Twitterでは使えません。Twitterのスクレイピングがすべて失敗するというsnscrapeのissueは2023年6月30日に立てられ、現在もオープンのままです。
Twitterのデータを最も安全に取得する方法は?
Xがサポートしている経路はX公式APIです。公開データをより低コストで読み取るなら、サードパーティAPIを使えば、スクレイピングに必要なアカウント管理や保守が不要になります。いずれの場合も、必要なものだけを収集し、自分に適用されるルールを確認してください。
出典
- Xの利用規約
- x.comのrobots.txt
- Knight First Amendment Institute:Xの2024年11月の規約について
- TechCrunch:Twitterがユーザーの閲覧ツイート数に制限(2023年7月1日)
- snscrape issue #996:All Twitter scrapes are failing
- GitHubのtwscrape
- Fenwick:hiQ Labs v. LinkedIn、第9巡回区控訴裁判所(2022年)
- MediaPost:Bright Dataに対するXの請求を判事が棄却(2024年5月)
- MediaPost:XがBright Dataに対するスクレイピングの請求を再提起可能に(2024年11月)
- Bloomberg Law:XがBright Dataとのスクレイピング紛争で和解(2025年6月)
- X APIの料金(docs.x.com)


